「…暑い」
次にサキが遠慮なく言った文句は誰もが思っている事だった。
やっと歩く人の波から花火見物用の道路に出たサキは、打ち上がる花火を心待ちにしている見物客とは正反対の表情をしていた。
今年も通行止めにされた道路にはたくさんの人が立っている。
俺とサキもその中でもうすぐ始まるであろう花火を待っていた。
「なんだってこんなに人居んのよ?ただでさえ今夜は熱帯夜なのに他人の体温のせいで更に暑いじゃん」
機嫌の悪いサキはいつもよりも遠慮のない素直な発言だった。
「サキぃ、暑いの皆、一緒なんだから我慢しろって」
一応、周りの目を気にした俺はサキにだけ聞こえるように耳打ちした。
サキは不機嫌からふて腐れた顔になって深い溜め息をついた。
時々取る子供のようなサキの態度は健在だった。
最近では更に拍車をかけているような気もするけれど、惚れた弱みなのか俺は特別嫌というワケではなかった。
―――なんでかそれもカワイイんだよな…―――
自分自身に若干呆れながらサキを見たのと同時に今年の花火が始まった。
次にサキが遠慮なく言った文句は誰もが思っている事だった。
やっと歩く人の波から花火見物用の道路に出たサキは、打ち上がる花火を心待ちにしている見物客とは正反対の表情をしていた。
今年も通行止めにされた道路にはたくさんの人が立っている。
俺とサキもその中でもうすぐ始まるであろう花火を待っていた。
「なんだってこんなに人居んのよ?ただでさえ今夜は熱帯夜なのに他人の体温のせいで更に暑いじゃん」
機嫌の悪いサキはいつもよりも遠慮のない素直な発言だった。
「サキぃ、暑いの皆、一緒なんだから我慢しろって」
一応、周りの目を気にした俺はサキにだけ聞こえるように耳打ちした。
サキは不機嫌からふて腐れた顔になって深い溜め息をついた。
時々取る子供のようなサキの態度は健在だった。
最近では更に拍車をかけているような気もするけれど、惚れた弱みなのか俺は特別嫌というワケではなかった。
―――なんでかそれもカワイイんだよな…―――
自分自身に若干呆れながらサキを見たのと同時に今年の花火が始まった。

