「それにしてはダメージ少ないんじゃない?ちょっと前までは美咲にピアス開けさせるくらい追い詰められてたのに」
俺は空人にとって嫌な質問をわざとぶつけてやった。
「もう平気だよ。サキが俺の事、好きなの分かったから」
空人はやっぱり余裕の表情だった。
「サキがおおっぴらにしたくないって言うならそれでも良い。俺はもうそんなの気にしない」
いつになく空人は真剣な目をしていた。
「じゃ、今日は愛しのカノジョをしっかり応援しないとね。って真由子の応援ももちろんだけど」
俺達はやっとコートを見下ろせる最前列にはい出た。
「なんだ、サキのヤツ、ちゃんとやってんじゃん」
コートでは美咲と真由子が正式なバスケ部員と一緒に体を慣らしていた。
「美咲のユニフォーム姿なんて滅多に見れないよ?フラッシュが眩しいね」
ギャラリーから向けられたカメラは容赦なく美咲にフラッシュを浴びせていた。
「べ、別に気になんねぇよ…」
そう言いながらも空人の顔は引きつっていた。