「…うるさい…」
美咲はすでにうんざりしていた。
「っつーかサキもサキだって！なんでコソコソ海人なんかと放課後に会ってんだよ！？」
空人は治まらない怒りを今度は美咲にぶつけた。
「なっ！私が誰とどこで何してようと別に良いでしょ！？どうせソラは毎日部活なんだから！」
一気に頭に血が上がったらしい美咲がらしくない事を口走った。
―――それって空人にかまってもらえない腹いせに海人と会ってたって言ってるようなもんじゃん―――
どっと疲れが出て来た。
「だから一緒に練習行くぞって言ってんじゃん！」
「なんで私がいちいちソラと一緒にバスケ部の練習出なきゃなんないのよ！」
とうとう久しぶりに見る２人のにぎやかなケンカが始まってしまった。
―――部活中だと他の部員が居るから一緒に居るところ、あんまり見られたくないって事ね―――
空人は遠巻き過ぎる美咲の思いに気付く事もなくギャンギャンと騒いでいる。