「どういう事?あの2人って…」
そんな言葉が教室のあちこちで囁かれた。
―――ヤバイ―――
もう遅かった。
俺とサキはクラス中の視線を集めていた。
「何デカイ声で言ってんのよ!?バカじゃないの!」
真っ赤になって叫んだサキは力が抜けた俺の腕を再び振り払って教室を飛び出した。
「今のは確実に空人が悪い」
走り去るサキを呆然と見送った俺の肩に隆太がポンと手を置いた。
「美咲にああいう事、頼むんだったら例え本当でも他の女、登場させたらダメじゃん?女バスの部長に頼まれた、じゃなくて、自分の頼みだって言わないと」
思いもよらない事を隆太が言い出した。
「へ?そこ?サキ、そこに怒ってんのか?」
サキがそんな所で不機嫌になるなんて予想外過ぎてなんだかピンと来ない。