甘かった。
空人は私、真由子、隆太が降りる駅より1つ向こうの駅をいつも使っている。
それなのにあの後、家まで送ると言って聞かなかった空人は、私に合わせて1つ前の駅で電車を降りた。
私が人目を気にすると悟ったのか、空人は電車を降りるまで私に指1本、触れなかった。
ただ、いつもより少し近い距離を保ったまま私の隣に居た。
そんな空人に私はつい手を許してしまった。
駅を後にしてから、そっと触れて来た空人の手を振り払う理由が見つからなかった。
他人の手がこんなにも温かいという事を私は初めて知った。
よりにもよってそんなところを真由子に見られていたとは。
「…え?ちょっと待って。さっき私達って言った?」
私はさっきの真由子の言葉を思い出した。
「うん。隆太と一緒だったから」
大失敗だ。
真由子のみならず、隆太にも見られていたなんて。
自分にしては実にツメが甘かった。
空人は私、真由子、隆太が降りる駅より1つ向こうの駅をいつも使っている。
それなのにあの後、家まで送ると言って聞かなかった空人は、私に合わせて1つ前の駅で電車を降りた。
私が人目を気にすると悟ったのか、空人は電車を降りるまで私に指1本、触れなかった。
ただ、いつもより少し近い距離を保ったまま私の隣に居た。
そんな空人に私はつい手を許してしまった。
駅を後にしてから、そっと触れて来た空人の手を振り払う理由が見つからなかった。
他人の手がこんなにも温かいという事を私は初めて知った。
よりにもよってそんなところを真由子に見られていたとは。
「…え?ちょっと待って。さっき私達って言った?」
私はさっきの真由子の言葉を思い出した。
「うん。隆太と一緒だったから」
大失敗だ。
真由子のみならず、隆太にも見られていたなんて。
自分にしては実にツメが甘かった。

