ワタシの隣り

「泰輔…」



自然に泰輔の名を呼んだ

充に聞こえるかわからないような小さな声で


泣いたら駄目

充は私を元気づけるために連れて来てくれたのに

泣いちゃっ駄目だよ…


そう思うのに

涙が止まらない

両手で一生懸命覆って

我慢しようって思うのに



「彩華…」



充の私の名を呼ぶ声と同時に、ポツポツと雨が降り出してきた



「…彩華、濡れるから車ん中入ろ。」



その言葉に首をふった



動きたくなかった

むしろこのまま濡れてしまいたかった


全部

全部


泰輔への気持ちも…

流れていってしまえばいいのに


そう思うのに

何処かで忘れたくないって思ってる私がいて



…矛盾



だから全部全部

矛盾もなくなるくらい


荒い流して