「え・・まぁ・・・」


少し困った表情を浮かべながら
そう答えるあたし。

それを聞いた矢野先輩は。


「・・・じゃあ、貰うよ」


手を差し延べて、
あたしを見る矢野先輩。


「え・・・でも少し
かじっちゃったし・・」


「・・いーから」


矢野先輩は
あたしの皿を取る。


「あ・・・っ」


あたしの皿から
にんじんを口に入れる矢野先輩。


「・・・・」


あたしは急に恥ずかしくなった。


か・・間接


「・・間接キス」


小さな声で呟く矢野先輩。


「・・・!!」


「・・なんてな」


意地悪な笑顔を向ける矢野先輩。


あたしはジュースを
ストロー越しで飲む。


「・・先輩の意地悪!」


「・・ははっ悪い悪い」


笑い合うあたしと矢野先輩。


こんな矢野先輩見るの
初めてかも・・・。


「・・・・」


黙ってあたし達を見る長瀬先輩。


すると突然。


「俺も柳原と間接チューしたい!」


そう叫んだ長瀬先輩。


「・・・え」


長瀬先輩の言葉の意味が
分からないあたし。



そう言うと、
長瀬先輩はあたしの飲んでいた
ジュースを手に取り・・・

ストロー越しで、飲んだ。


「・・・・!?」


「間接キス♪」


可愛く笑う長瀬先輩。


な・・な・・


「はい!柳原!」


長瀬先輩はそう言うと、
あたしの口にストローを
入れた。


「・・・・!?」


「今日は俺と柳原の

初間接チュー記念日な♪」


固まるあたし。


今・・・何が
起こっているのでしょうか?


あたしの身に・・・

いったい何が・・・
起こっているのでしょうか?


この日が特別な日に
なるとは思ってもいなかった。


そう・・・
この日があなたと話した
最後の日。


「・・・変態!」


「俺は変態じゃねーよ」


「「あはははは」」


それが最後に
あなたと笑い合った日。