「俺、送るよ」


長瀬先輩が、
あたしにそう言って近づく。


「え・・・っ」


その日、
早く帰っていれば・・・。

無視すれば・・・。

あんな事が
起こらなかったのに・・・。

あたしは長瀬先輩の隣で歩く。


長瀬先輩は
さきに話を切り出した。


「・・・なんか、俺勘違いしてた」


「・・・え・・・?」


長瀬先輩はそう言うと、
あたしの前に立つ。


「・・ごめん!!

大地と付き合ってるって聞いて、
俺ムカついて・・・!


本当は付き合ってなかったのに・・

傷付けてごめん!!」


長瀬先輩はあたしに謝る。

あたしは一瞬驚いたが
優しく笑って、言った。


「いーですよ。
分かってくれれば・・♪」


あたしは笑顔でそう言う。


「本当か!?

良かったぁ・・・お前に
嫌われたかと思った」


・・・ドキッ


「き・・・嫌いになるわけ
ないじゃないですか!」


頬を赤色に染めるあたし。

長瀬先輩はそれを聞いて、
あたしの隣に来る。


「だよな・・・!

柳原は俺のことが、
好きなんだもんな♪」


意地悪な笑顔で笑う長瀬先輩。


あたしは驚いて、


「は・・はぁ!?

好きじゃないし!!」


そう言って急に歩きだす。


「お・・おい!!柳原!!」


あたしは無視して歩きだす。


そして。


信号は赤色に変わる。


その信号に
気が付かないあたしは

そのまま横断歩道を渡る。


「・・・!?・・・柳原!!」


長瀬先輩は大きな声で叫ぶ。


ゆっくりと振り返るあたし。


「もううるさいなぁ!!」


すると。


・・・プップーーーッ


「・・・!?」


あたしの前に
大きなトラックが。


あたしは驚いて、
体が動かない。


「・・・柳原!!」


長瀬先輩はあたしの前に立つ。


あたしを庇おうとする長瀬先輩。


二人同時に目をつぶる。


その時だ。


「・・・柳原!!啓!!」