放課後。



「じゃ〜ね!空!」


「うん、じゃあね」


あたしは彩と別れを言うと、
一人で武道館に向かう。


そう・・ここからが、
あたしの
厳しい現実が待っていた。


長瀬先輩はあたしを
見るなり、冷たい視線を
あたしに向ける。


そして
あのあとから
長瀬先輩と矢野先輩は
一度も話していないという。



あたしのせいだ。



あたしのせいで
二人の仲を引き裂いて
しまった。



あんなに
仲が良かった二人なのに・・・


「やめろよ、啓!」


「やなこった!
大地が謝ったら許す!」


「まいったから・・・!」


「「あははははっ」」



あんなに・・・
楽しそうに笑い合ってたのに・・・。



あたしのせいで・・・



あたしの・・・せいで・・・。




ごめんなさい・・・。




矢野先輩・・・・。




「柳原・・・?」


後ろから声がする。

振り向くと、
矢野先輩が立っていた。


「矢野先輩・・・」


「どした?元気ねーじゃん」


矢野先輩はあたしの隣に来る。


「・・ちょっと
辛いなぁって思って・・・」


お面を棚に戻しながら
矢野先輩に言うあたし。



明日もまた
長瀬先輩に冷たい視線を
向けられるのかな・・・



今日は顧問が途中から
いなくなって、


その時間で部活は終わった。



「柳原・・・」



矢野先輩はそれ以上何も言わず、


あたしの傍に
いつまでもいた。



それから3ヶ月。



またしても
嵐がやってきた。


その日は
あたしにとって・・・



そして長瀬先輩にとって・・・



それぞれに
新しい想いを抱かせた。



2月14日。


バレンタインデー。



放課後になると、
みんなチョコレートを
渡しはじめた。



あたしは
矢野先輩にあげることにした。