あのあと、
あたし達は一言も話さず
時を過ごした。


矢野先輩はあたしの事を
すごく心配してくれた。


何も話さなくても
あたしが長瀬先輩と
何かがあったという事を
知っていた。


あの喧嘩の元になった噂が
何だったのか、
今でも分からない。


矢野先輩は
誰かがでたらめを
流したんじゃないのか?って
言ってた。


そんなの知ってる。


だってあたしは
長瀬先輩が好きなんだもん。


矢野先輩じゃなく、
長瀬先輩の事を・・・。



けれど。


その想いは
簡単に砕けちった。



『二度と俺に
近づくんじゃねーぞ』



今でも心の中に
染み付いている。



絶対その言葉は消えない。


一生あたしの心の中で
生き続ける。



合宿も終わり、
普通の学校の日になった。



失恋のキズを負った
あたしはいつも通り学校へ行く。


「ねー!空」


「・・・・」


「そーら!」


「!・・・・ごめん、
聞いてなかった」


我に返るあたし。


「もー・・・!
朝からそんな感じじゃん!

人の話聞いてるか
わかんないし、


見るからにテンション低いし。


何かあった?」



あたしを心配する彩。


それを見たあたしは
彩には心配をかけたくない、
そう思いごまかす。


「ううん・・・!

ちょっと疲れてるだけ」


笑顔を見せるあたし。


「・・・本当?


あんまり無理しないでよ?」


「うん!ありがと」


彩の優しさに感動するあたし。


これ以上、
他人に迷惑かけられない。



忘れよう。



長瀬先輩のこと。