「普通以下…」
ジュースが落ちる音に混じるようにポツリと呟いた。
「………えっ!?」
聞き取れなかったわけじゃない、その容姿が発する言葉じゃないと頭がどこかで判断したのかも知れない。
「あ?どうしたんだよ?」
「別に………」
何も知らない朱希が一口飲んだジュースを差し出すから、それを受け取ると喉に流し込んで気持ちを落ち着かせた。
「あ…あたし…ちょっと用事があるんだった…」
彼女の視線が痛くて、何も言えずにその場から逃げるようにそれだけ伝えると走り出した。
一言ぐらい文句を言ってやれば良かったかも知れないけど…
あんな可愛い子に言われちゃうと言い返せるわけがない。

