その日…学校の休み時間でで朱希を見かけるたびに彼女がじゃれていた。
うっとおしそうに相手をしながら眉間にしわを寄せる朱希の分かりやすい態度に、そこまで露骨にしなくてもってツッコミを入れる自分。
愛子も顔には出さないけれど、どこか彼女を気に食わないような表情をしていて。
元カノなりに色々と複雑な思いになってるのかなって?って言葉には出来なくかった。
それは自販機にジュースを買いに行った時の事だった…-
昼休み、ようやく彼女の戯れから解放されたと思った時、
「先輩~!!」
猫なで声が聞こえると、嫌な予感が的中。
げ…と二人で同時に声を上げた。
「もう来るなよ…」
朝からうんざりで、疲れきった朱希に苦笑いを見せると彼女に視線を落とした。
いつまで、続くのか分からない追いかけごっこの事実、あたしも少しうんざりしていたから。
「………」
「…………」
大きくて栗色の瞳でジッとあたしの顔を見つめ、ふいに無表情になる。
ジュースを買っていた朱希は背中を見せていて、その悪意がこもったような態度を見てはいない。

