「何すんだよ!!」


殴られた頭を押さえ涙目で訴える朱希に、顎をクイッと上げ方向を指す。


「……?」


テーブルに目をやると、生徒手帳らしき物が置いてあった。


「うちの前に落としてましたよ?」


璃子がニッコリ笑いながら伝えると気まずくなり、頭を下げた。


「悪ぃ…ありがとな」


「いいえ」


目を伏せると長い睫毛が見えて、ふと疑問になり声を出す。


「…つか、お前誰?」


家まで送ったものの、名前さえちゃんと知らない。


「二年生に転入して来た安和谷璃子です、さっきは、ありがとうございました」

可愛い声で名前を告げ丁寧に頭を下げる璃子の仕草に一瞬、戸惑った。


よく見れば、すっげぇ可愛いんですけど。


漫画に出てきそうな、飽きた言い方をすればフランス人形のような容姿。


「…先輩?」