「腹冷やすぞ」
「大丈夫」
親指をたてて分かりやすく笑うと、有無を言わさずゲームの電源を入れコントローラを渡して来た。
別にゲームが嫌いなわけではないよ?
でもさ…他に何かする事あるんじゃないですかッ!?
「なに?しないの?」
「するけどお前弱いもん」
いつも楽しそうに勝っただの負けただの…それで終わり。
色気もくそもない時間を過ごして、俺達の時間は終わる。
しかも格闘ゲーム…―
いつものキャラクターを選んで、柚葉を打ちのめす。
「ちょっと!!卑怯!?」
「はぁ?格闘の世界に卑怯なんて言葉はないッ!!」
なんて意外に楽しんでる俺もいたりするんだけど…―
「柚葉〜朱希君〜」
夢中になっているとおばさんが、呼んでいる声が聞こえた。

