「お兄さーん」
「せ…んぱい…」
気恥ずかしそうに、小さく囁いてバツの悪そうな顔を見せる。
すると、しばらくしてから二階の方で、歩く音が近づいてきた。
「なんだよ…チッ」
階段から不機嫌そうに降りて来たのは、上半身裸の大層ダルそうな兄貴らしい人間。
「なんだよ?」
「お兄ちゃん」
最強に分かりやすく眉をひそめ髪をクシャクシャと掻きながらこっちに向かって来る。
男が男に言うのはおかしいけど妙に色気のある兄貴が。
「こいつの部屋階段上がって右だから連れてってやってよ」
「え?」
なに言ってんの?
そのつもりなら本人に部屋ぐらい聞くっつーの!!
「いや…あの…ちょ…」
「部屋でイイ事してるから邪魔しないでね?」
片口をクイッと上げて笑い、スタスタと歩き出してしまった。
「えぇ〜…」
「お願いします…部屋に…」

