そのまま荷物を代わりに持ち、自転車置き場まで歩いていると彼女は呟くように言った｡
「男だって嘘を言えば良かったのに…」
「嘘つく必要ねぇもん」
さっきの会話を聞いてたのかよ…こいつ｡
調子悪そうなフリしてただけって事か｡
「どうして？」
「あいつに嘘つきたくねぇし、あいつ以外に興味がないから｡やましくねぇからとも言う」
俺は、あいつが大事でたまらないんだよ｡
今だって、どこか罪悪感があるっつーのに…―
「へぇ〜…」
「ほら、さっさと乗れよ｡さっさと帰りたいんだから」
急かすように素っ気なく言うと、素直に後ろに座り腰を強く抱き締める｡
「ちゃんと道教えろよ」
なんていうか柚葉にはない、大きな胸を押し付けられて思わず反応しそうになったけど、柚葉の鬼のような顔を思い浮かんで萎縮した｡
早く柚葉に会いたくて心地よい風を切りながらペダルをこいだ｡
