「どうする?」
「じゃ〜そうね…私が車で送りましょうか?」
なんで俺が、そこまで面倒見なきゃなんねぇんだよ。
知らないよ。
先生が送ってやるのが、一番妥当でしょ?
「嫌!!朱希先輩に送ってもらいたいです」
「へ?」
さっきまで死にかけた顔をしてたくせに、いきなり大きな声を出されて体が跳ねた。
「あたし朱希先輩がいい」
…―なに、コイツ。
制服の裾をギュッと掴んで、上目遣いで俺を見つめる。
まるで捨て犬みたいに潤んだ可愛い目で。
「…ダメですか?」
「…自転車置き場まで歩けるか?」
さすがに、おぶるのはダルい。
それが無理なら先生に頼もうと勝手に決めて尋ねると荷物を手に立ち上がった。
「大丈夫です…」
「じゃ送る」

