玄関先から朱希の声と母さんの笑い声が聞こえる。 「ほら!!柚葉!!早く来なさい」 「……」 パパに言いつけてやる… 朱希によそ行きの高い声出してる…― 「柚〜…」 「行って来ます…」 「おはよ」 普通の顔で、いつもと同じ朱希にどう接したらいいのか分からなくて小さく返事をした。 「じゃあ、行って来ます」 「気を付けてね〜」 やっぱり嬉しそうな母さんはご機嫌であたし達を見送ってくれた。 「あたしだけなら見送ったりしなかったよね…」 ポツリと文句を言うあたしに近づいて、手を握って来た。