─「あの丘なら、星が綺麗に見えるはずだから」



広い、何もない丘。


そこに、1つの小さな影。



「おい」



振り返った少女‥‥って‥



「華乃‥?」


「藤宮くん‥」


「お前‥‥‥なんで‥‥‥?」



そこにいたのは、ガキではない。


17歳の華乃だったんだ。



「なんか、月の下だと、この姿に戻れるみたい」



そう言って、無邪気に微笑む彼女は、華乃そのものだった。



「‥‥っ‥‥‥」


「ちょ‥っ‥藤宮くん?」



そんな華乃を、俺は力一杯抱き締めた。



華乃は、「痛いよ‥」なんて言いながらも、俺の背中に手を回していた。