「はじめまして、AOIです」


AOIは愛美に向かって、
まさかのキラースマイル!

愛美はビックリしている。
俺も。

よりによってなんで愛美なんだ?


「俺のこと知ってる?」


愛美は突然のことに戸惑い
ながらも頷いた。

その瞬間、AOIが跪き、愛美の手を取った。

「姫、あなたに一目惚れ
してしまいました!
よかったら付き合って
ください。」


ホールは静まり返った。


愛美は声も出ない様子だ。

俺はとっさに立ち上がり、
駆け寄った。

『ちょっ…――』

言い掛けた瞬間、


「なぁんてね、ビックリした?
でも、一目惚れは本当!
なんかキラキラしてたからさ。
俺、喉乾いちゃってさ〜なんか
くれる?」


そういって笑った。

愛美は放心状態だ。

「あれ?お前なに?」


駆け寄ってきた俺にAOIは
不思議そうな顔をした。

『えっ?あ、いや、なんか
やっぱり喉乾いたな、と』


引きつりながら言った。


「あ、じゃぁ適当にお持ちします」


愛美が無表情で奥に引っ込んでいった。

他の女の子たちも何人かはドリンクを作りに行き、
何人かは散らばって料理を
運んだり、何事もなかったの
ように動きだした。


いや、何事もなかったんだ。

AOIはすました顔して
煙草を吸い、ダーツをはじめた。


そうそうAOIはああいうこと言える奴だよ。

もっと言えば、俺も。


何であんなにあわてたんだ?

カッコ悪……


みんなが動く中ダサい俺は
その場に立ち尽くしていた。