おそるおそる出る。

隼人くんかな?

「愛美?」


低い、セクシーな声に
背筋がゾクッとした。
Ryuseyだった。

『は、ぃ。Ryuseyさん?』


「そう、よくわかったね。今日はお疲れ様。コヤシュンから
聞いたかな?着物の件。」

(コヤシュンって小山くんの
ことかよ(汗))


『あ、えぇ、なんのことだか
よくわからないのですが?』

少しだけ語尾を強めて言ったが
全く動じる気配はない。


「君の顔は和の顔だから着物が
似合う。明日からは毎日着物だよ。
きっと素敵だよ。楽しみだな♪」


『あの、さんざん味噌汁かけご飯
とか言ってたくせに、なんなん
ですか?だいたい、着物着て掃除
なんてやり慣れてないんだから
出来ませんっ』


電話だと強気になってしまう。


「その気の強さ、たまらないね。
僕は君をすごく気に入った。
だから掃除はしなくていいよ。
僕の身の回りの世話をしてくれ。
雑用だね。」


『雑用?家政婦って掃除とか
洗濯とかそういうのやるんじゃ?
ご飯も作れますけど…』


「あぁ、掃除は一人じゃ
無理だし、ご飯はシェフを雇って
いるから大丈夫だよ。
洗濯はまぁ、やってもらうかな。
メイドいなくなっちゃったからね」


『あの、どうして…みんな辞め
させちゃったんですか?』

「ん〜まぁ、気分?」


『気分?って……しかも、彼女
にするって言ってたのもやめた
みたいですけど。』


「あぁ、詳しいね〜隼人か?
まぁいいじゃん、そんなに
気になる?僕に興味
わいちゃった?」


低い声でハハハと笑っている。

「ぜんっぜん、興味ありません!
他に何かなければ切りますよ?」