くちびるの純情 薬指の約束

「ただいま」

いつもより静かな声


「お帰り」


予想よりも遅い帰宅に基は心配をしていた。


リビングに入ってきたひかりの表情(かお)をみて杞憂でないと思う。


「夕食どうする?」

入り口に立ち尽くしているひかりの傍までいき、少し体を屈め視線を合わせながら聞いた。



「……」

ご飯なんて。心がいっぱい過ぎていらない。





ハズなのに私のお腹はぎゅーっと鳴ってしまう。





「何か食いにいくか」