くちびるの純情 薬指の約束

ガチャン。音の方を見るとベッドに寝かされた純也が出てきた。

顔色はまだ青白い



「親父」



一瞥するとその声を無視して

「お話が」


おばさんに声をかけた


「渉ちゃん」


「今日は面会謝絶だし帰ろう。送るから」


「うん」


「何か分かれば知らせるから」


背中から耳元に私にしかわからない声で会長は囁いた。



渉ちゃんと二人

タクシーの中

海面に浮かぶ半月


青白くユラユラ揺れて幻想世界を作り出していた