くちびるの純情 薬指の約束

「目が虚ろ、茫然としてるって感じかな」


少し考えた後会長は私の隣に座り静かに言った。



「渉ちゃんに絞られますね」


生徒会長と副会長が二人して行事の最中に逃亡したのだ。


「ま、いいさ」



「ごめんなさい」


「俺の方こそ悪かった」


会長の手が優しく私の頭を撫でた。まるで小さな子供を慰めるみたいに


「大丈夫。親父が全力尽くしてくれる」