くちびるの純情 薬指の約束

チッ

頭上で舌打ちの音がしたと思うとグイッと腕を掴まれ引っ張られるように旧校舎の方へ駆け出した。


「な、どこ行くんですか」

「隠れられるところ」


どんどん先を走っていく。



後ろからの視線が痛い。


「そんな顔で人前にでるつもりか」




もしかして泣いてる?


目元に触れてみる。

涙は流れていないみたい。