くちびるの純情 薬指の約束

「ね」

そのこの方を見ると笑っていた


「あ、これ」


ハンカチを返そうとすると


「あげる」


看護師さんに手を引かれパタパタと階段を駆け下りた。


それから逢うことはなかった。


ハンカチは今でも引き出しに眠っている

「ハンカチの男の子?」


「そ。あの後も何回もお前見ていたんだ。強くて、でも優しい女の子」


恥ずかしい。そんな風に自分を誉められることなんてないから。思わず頬に触れてみた


赤くなってないよね