くちびるの純情 薬指の約束

慌てて渡されたハンカチで自分の目元を拭く

大丈夫。大丈夫。


扉の向こうの相手はわかってる


だからもう涙はこぼしちゃいけない

「ひかりちゃん。見つかって良かった」




息を切らせ走ってきたのは一番仲が良い若手の看護師


「純也は?」


「大丈夫。落ち着いたわ。用事あったんじゃない?」


よ、良かった。



「あ、夏休みの宿題届けに」


「行こう。中に入っても良いから、顔見ていってあげて」