「いくか」

足音がやけに大きく聞こえる

「テスト勉強?」

「はい。物理を教えてもらってます。テスト終わったらまた料理教えてください。美味しいです。これ」

「もちろん」

必死に誤魔化そうとしている。さっきから感じる純也の視線

ねぇ、何を見てる?



「ひかり」

「え?」

「こぼしてる」

指された先を見るとスプーンからスープが零れ落ちていた

「ご、ごめん」

「ふきん持ってくるわね」

パタパタと母親がキッチンへと走っていった


「本当に何があったんだ?」


そんな風に優しくしないで

「大丈夫。何もないから」


そう言って純也をみた時、母親がふきんを持って現れた