私がアメリカに行くとき

少しだけ泣きながら握った小さな手が

帰国した時にはもう
私を包み込む大きさだった

背丈も、声も


すっかり男の子




嫌でも意識させられた

「ねぇ純也。今晩そっち行って良い?兄貴いないんだ」


「わかった」

微かに吹きつける海風が気持ちいい

「じゃ、ご飯食べたら行くね」

「うちで食べてけば?」

「でも」

断る間もなく純也は家の中に入り母親に声をかけた