一昨日くらいまでは、三人で身をよせあいながら帰った気がする。

ずいぶん暖かくなった。

春はきらい。

花粉症のせいで、きれいな花もくしゃみと目のかゆみのせいでろくに見られない。

春はきらいだけど、季節の変わり目は好きだ。


少し不快な、暖かいというより生ぬるい、本来夏にふくのがふさわしいであろう風をほほにうけながら目をとじる。


目をつぶり、立ち止まった。


｢ほんとに、春とおりこして夏みたい｣


そう、つぶやいた。


夏織がどこにいるかはわからないけどつぶやいた。


｢ほんと｣


遠くからか、近くからなのかわからないけど夏織は返事をした。


｢いいね、季節が変わるんだ！って感じ｣

すうっと深呼吸して、目をあけた。


意外にも、夏織はあたしのすぐそばにいた。


夏織は口を大きく横にひらいて笑い、言った。



｢アイスたべない？｣



｢賛成｣



あ、優介いたんだ。

心のなかでそう思って、あたしも笑顔でうなづいた。