それからの私の生活は

今までの生活とがらりと変化した。



樹の言った事は絶対で

全てをやりこなさなければならなかった。




何かを買うのも

何かをするのも

全て樹の許可がなければなかった。



授業中で携帯電話に
出られなかった事で

携帯電話を没収された事もあった。



樹自身に、何か嫌な事があって
その怒りの矛先はいつも

私へ向けられていた。


その都度私は殴られ、叩かれた。



だけどその度に樹は


殴られて泣いている私を見て



静かに近寄ってきては抱きしめ、


「ごめんね」


と呟くのだった。




その行動が理解出来なくて

でも怒った樹が私を殴る、ではなく

抱きしめてくれる、ということが
なにより嬉しかった。



登校中に樹の機嫌が悪くて

自転車に乗りながら
蹴られた事もあった。


橋の上にさしかかった時
急に樹が叫んだ
「止まれ!」

橋の真ん中、
何か落としたのかと

自転車を止めると
樹が私の隣にきて

「こっから落ちて死ね」

というのだった。



その言葉にはさすがに驚いて

『死ねないよ!
何言ってんの?!』

そう言うと

「なんで死ねねーんだよ
死ねんだろ落ちればいいだけだ」


涙も出なかった。

呆れるという感情が
次第に大きくなっていた。


「こっから死ねないなら
学校着いたら屋上行こう」

突拍子もない言葉

『屋上?なにするの』

「俺が落としてやるから
お前屋上から落ちて死んでくれよ」


そう言って自転車を走らせる樹。


黙って私もその後を追いかけた。



この人は何でそんなに私を
殺したがるんだろう。

そこまで死んでほしいなら
一緒にいなければいいのに。

そこまで死んでほしいなら
いっそのこと殺してくれれば
私も楽に死ねるのに。


学校に着いてから

限界に近付いていた私は
樹にこう切り出した。