教室について、
荷物を置いたあと

廊下で樹と二人向かい合った。


『私の事、気に食わないのは
もう十分解ったよ。
だから死ねって言うんでしょ?

だったら、殺してくれるか
もしくは私たち、もう別れよう?

そしたらあなたに迷惑をかけること
もう絶対になくなるから。

一緒に居るのが悪いと思うだ。』



樹は言葉も出ないくらい驚いていた。




それまで私は

樹と別れる、という事を
全く考えていなかった。


暴力を振るう樹は嫌いだけど
それ以外の樹は大好きだったから。

私には
なくてはならない存在だったし

何より離れたくないと思っていたから。



それを知ってる樹は

絶対にこいつは自分から離れない

そんな自信を持っていたに違いない。

何をしてもこいつは
俺を好きでいる馬鹿なやつ。


そう思っていたと思う。




そんな事を想われてた私が
発した言葉を確かめるように

「別れるの?」

そう呟いた樹の顔は
少し悲しそうな目をしていた。


『うん、もう…
ダメだと思うから…』


「ふざけんな」


樹は私をまた
あの目で見降ろした。


「俺から逃げんのかよ?
今まで我慢させてきた結果これか?

俺がどれだけお前に対して
我慢し続けてきたかわかるか

その結果お前は俺から逃げんのかよ」


『そんなに我慢し続けてきたなら
別れてくれた方が良い!

私ばっかり悪いように言わないでよ』


その言葉を言った後
自分でも後悔した。

当たり前のように
樹の右手は私の頬を叩いた。


まだ誰もいない朝早い学校

静かな廊下で
私の頬を叩いた音だけが響いた。



「お前自分だけが被害者面か?」

涙溢れた顔で樹を見上げた


本当に限界だった。

ストレスからくる身体の不良も
全てがもう苦痛でたまらなかった。


「俺から逃げられると思ってんじゃねえ」


そう言って樹は教室へはいっていった。