【完】アニキ、ときどきキス

その日、穂高は給食も食べたくないと、保健室から帰ってくることはなかった。


帰りの会を済まし、穂高の鞄を持って保健室へと向かう。


コンコン


「失礼します。
あれ?誰もいない」


保健室のドアを確認すると、『出張中』の張り紙がドアにしてあった。


「そういえば、養教の先生、午後から出張だって言ってたな」


シーンと静まりかえった保健室。

時計の音だけがカチカチと響いていた。


ソロリソロリとベッドに近づく。

カーテンで覆われたベッド。


カーテンをバッと開き、大きな声を出した。


「わっ!!驚いた!?あ、あれ!?」


ベッドには誰も寝ていなかった。


「何をしているんですの?」


「ぅえ!?」


私の背後から、穂高が冷たく声をかけた。


呆れたような表情だった。