【完】アニキ、ときどきキス

放課後も遥の側にいられるようになった。

確かに遥のことを守ることは出来ているのかもしれない。


だけど・・・・・・。



少しずつ、子ども達が来はじめて楽しそうな笑い声が聞こえてくる教室。

相変わらず私のことは無視だけど・・・それでも教室にいる子ども達は楽しそう。


互いに取っ組み合いながらじゃれ合う男の子達や、最近の格好いい俳優のことでキャーキャー言っている女子達。



遥と直太朗も、この子達となにも変わらないはずなのに。


こうして同じように輪に入れてあげたい。



だけどこの微笑ましい輪も長くは続かない。


穂高が来た途端、魔法がかかったようにピタリとほぐれてしまう。


みんな穂高にビクビクして、気を使っている。


あっという間に教室は静まりかえる。


「穂高、おはよう!」


「・・・・・・」


私が挨拶をしても、返ってこない返事。