【完】アニキ、ときどきキス

朝。

私は職員室の前で立ち止まっていた。


今日はいつもと違って、
ドアを開けるときとっても勇気がいる。


「ふう・・・いつも通りっと」


一つ呼吸をはき、ガラリと職員室の扉を開ける。


「おはようございます」


「あ、北原先生。
おはようございます」


朝一番の職員室。

いつものように山田先生は、ポットにお湯を注いでいる。


いつもと変わらない笑顔。

なのに、昨日とはなんだか違う。


昨日までなら、『わんちゃんみたいで可愛いな』って、この笑顔に癒されていたはずなのに・・・・・・。


今日は罪悪感というか、なんというか。


やっぱり気まずい。


二人きりの職員室。


横目でチラリと山田先生を確認してしまう。


私のこと・・・好きなんだよね。


私の視線に気づいたのか、山田先生は私に視線を向けにこりと優しく微笑む。