【完】アニキ、ときどきキス

「遥のクラスの子が・・・遥は親に捨てられたって。
そんなこと言ってた」


黙っていた新君にかまをかけて、そんな言葉を投げかけてみた。


「・・・・・・そっか。
そこまで知ってたんだ」


新君はフウと息を吐くと、静かに話し始めた。


「俺たちは6年前、両親に捨てられたんだ。
両親は借金作ってどっかにいっちまった」


衝撃的な内容だった。


「どっか行ったって・・・・・・え?
借金は・・・・・・」


「うん。
借金作るには保証人ってのがいて、その人が肩代わりに返済するはめになっちまったんだ」


「その借金って、大きな額だったの?」


「ああ、途方もないくらいにな」


新君は眉をさげフッと笑うと、私の手を引き、歩みを進めた。