「やっぱり、ここにいたのか」

直太朗はキッと遥を睨んだ。

遥は気まずそうに直太朗から視線をそらした。


「はあ・・・・・・」

直太朗はため息をつくと、自転車を止め、遥に詰め寄った。


「もうやめろって言ったじゃん。
こんなことしても、無駄なんだって」


「だけど、やらなきゃ美奈が・・・・・・」


そこまで言って遥がハッとして言葉を飲んだ。


「美奈?
美奈って同じクラスの早川美奈のこと?」


「望ちゃんに、昨日話さなかったのか?」


「だって、言っちゃったら北原先生、無視だけじゃすまないよ・・・・・・」


遥の目からポロポロと涙がこぼれた。