遥の住むアパートの前にたどり着く。

時刻は8時過ぎ。
ふと2階を見上げた。

遥がいるはずのアパートには電気が着いていなかった。


なんだか嫌な予感がした。


カンカンカンカンッ


階段を勢いよく駆け上がる。


トントン


「遥、いるの?
私、北原だけど・・・遥?」


シーンと静寂だけが私の周りを包む。

携帯を取り出し、電話帳を開く。


夕方には直太朗と一緒にいた。
もしかしたら直太朗の家にいるかもしれない。


トゥルルルル・・・・・・トゥルルルル・・・・・・カチャ


『はい、もしもし』


「夜分遅くに申し訳ありません。
私、直太朗君の担任の北原と言いますが・・・・・・直太朗?」


『うん、そうだよ!俺、直太朗』


電話口からはいつものような、直太朗の明るい声が聞こえた。