新君を見ていたら目があった。

私は一歩、また一歩と後ずさりをした。


「シンどうしたの?」


立ち止まる新君に隣にいた女の人が話しかける。


「ううん、なんでもない」


新君は私から視線を外し、隣にいた女の人にニッコリと笑顔を向ける。


「やっぱり、シンはそのえくぼが可愛いね。
大好き」


来なきゃ良かった。

私はすぐに目をそらし、その場から走り去った。


「あ、おねえさん!?」


呼び止める声を振り切って、私は走った。


女の人は新君のほっぺにキスをした。

仕事だって分かってるよ。

だけど、やっぱりあの笑顔はえくぼは、キス、は・・・見たくなかったよ。