【完】アニキ、ときどきキス

だけどあの時とはもう違う。


私も新君も。
お互い求めるように何度も唇を重ねた。
強く抱きしめ合いながら。


「っふ・・・・・・う・・・・・・」


私の目から涙が落ちてくる。

私の涙に気づいた新君が唇を止め、離す。

そして抱きしめていた腕を緩め、私の体を自分の体から引き離した。


「ごめん。
同情だって分かってるのに、俺また甘えてる」


「ど、う・・・・・・じょう?
新君何言ってるの?」


「・・・・・・送る。
家どこ?」


新君はカツカツとアパートの階段を降りていく。

涙をハンカチで拭い、慌てて新君の後ろを追いかけた。