【完】アニキ、ときどきキス

冷たく新君に言い放たれ、私の胸はズキンと痛んだ。


「う、ん・・・分かった」


私はスニーカーを履き、新君の横をすり抜けて玄関を抜けた。

去り際見た新君の顔は苦しそうにゆがんでいた。


嫌だ、そんな顔しないで。


私は階段を一歩踏み出した所で慌てて戻り、部屋の中に入ろうとしている新君の腕を掴み引っ張ると、玄関の扉をバタリと閉めた。


「何?」


「そんな顔しないで、新君・・・・・・」


私はそっと新君の胸にもう片方の手をそのせた。

そして一生懸命背伸びをして、新君の唇に私の唇を重ねた。


初めてキスした時もそうだった。

苦しそうな新君を見て辛くなった私は、『あなたの味方だよ』って。
そう伝えたくて新君にキスをした。