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「もう・・・山田先生泣かないで」


遥が運転をしている山田先生に、そっとハンカチを差し出す。


「うっ、うっ、ありがとおお」


山田先生はハンカチを受け取り、あふれ出す涙を拭う。

そんな山田先生を見て、私ももらい泣きをしてしまう。


「あー・・・北原先生も泣いてるし」


「うあ、なんだよ。
先生が二人も揃って泣いてるんじゃねえよ」


新君が振り返り、私にハンカチを渡してくれた。


「離ればなれになるって、辛いものなんですね・・・・・・」


山田先生がエグエグ喉を鳴らしながら、そんなことを呟いた。


「まあ・・・・・・」


新君がフッと笑って、答えた。


「だけど、お互いの気持ちは分かるだろう?」


「え・・・・・・?はい・・・・・・」


「じゃあ大丈夫だ」


新君は窓から、外の空気をスウっと吸いながら山田先生を励ました。


「たとえ離れていても、出会った瞬間、あの時と同じように思い合えるから」


新君とサイドミラー越しに目があう。

私たちは見つめ合ってニッコリと微笑みあった。