「なあ、北原先生。
美帆の留学も今年でおしまいだ。
そしたら新も今よりは落ち着くだろう」


「はい・・・・・・」


「新の側にいてやってくれないか?
そうして人のために泣ける北原先生なら、俺も安心だ」


尾崎さんが、私の背中を撫でる。


「あっ!ちょっと、尾崎さん!?
何で望が・・・泣かせた!?」


その時、新君が電話を終え、私たちの元へ戻ってきた。


「アホう。
これはな、お前が泣かせたようなもんだ」


「は!?俺!?
ちょっと、望!?」


心配そうに、オロオロする新君を見て、思わず笑みがこぼれる。


「ハハッ。大丈夫。
もう大丈夫だから」


私はそう言って新君の手をそっと握った。