その日以来、俺は少しずつ七瀬さんと話せるようになった。


それから図書室に行くことはなくなった。

理由はそれだけじゃなく、北原さんと会うのが気まずかったからというのもある。

キスをしたことがとても気恥ずかしくて避けていたのもあった。



そして久しぶりに北原さんと会う日。

図書委員の当番の日がやってきた。


北原さんは、俺より早く図書室のカウンターに座っていた。

北原さんは俺を見て恥ずかしそうに笑う。

俺は上手く視線を合わせることができなくて、カウンターに置かれた返却された本を持って本の整理へ向かった。


いつもなら、前の当番に文句をつけてやるところだけど、今日だけは北原さんと離れられるいい口実になるであろう、山積みの本に感謝した。


なのに・・・・・・。


「待って、私も行く。
どうせ今日も誰もこないだろうし」


北原さんはカウンターから抜け出すと、俺の後ろをピョコピョコと跳ねるようについてきた。