「え?あ、の・・・・・・」


ビックリして涙が止まってしまった。


「・・・・・・」


北原さんは恥ずかしそうに下を俯き、顔を真っ赤に染めている。


俺、今北原さんとキスしたの?

何が起こったのか分からなくて、俺も自分の唇に手を当てて、さっきのぬくもりを思い出す。


「・・・・・・アハッ!
なんか、照れくさいね」


沈黙を破るように、北原さんの脳天気な声が図書室に響く。


「だ、っだね!ハハ!」


笑いあい、見つめ合う。


ドキッドキ・・・・・・


心臓がものすごい速さで動いているのが分かる。


「か、帰ろうか!」


目を合わせているのが耐えられなくなって、俺はランドセルに手を伸ばし肩に背負うと、椅子から立ち上がった。


「うん・・・・・・」


北原さんも俺に続いて、席から立ち上がる。


その日の帰り道は、いつものように並んで歩けなかった。

いつも並んでいた影が、今日は一つに重なっていた。