家に帰ると、母親が俺を出迎える。


いつもしない化粧をして、見慣れない綺麗な服を着ていた。



帰ってきてそうそう「出かけるわよ」と言って俺を連れ出す母親。

どうやら七瀬さんとのデートに俺を連れて行くらしい。


正直面倒だなと思った。
せっかく仕事が早く終わったんだったら・・・俺と一緒に過ごして欲しかったな。


なんだか俺よりも七瀬さんのことを大事にしている気がして辛かった。



そしてしばらくして、俺と母親の家に七瀬さんが一緒に暮らすようになった。

俺は家に帰りたくなくて、放課後は図書室で過ごすようになった。


「ねえ、新君。
家に帰りたくないの?」


「え?」


図書室の机で宿題をしていると、北原さんが俺に話しかけてきた。