穂高と穂高の母親と一緒に病院を出る。


「さあ、乗って」


穂高の母親が、穂高にタクシーに乗るよう促す。


「はい」


穂高はタクシーの後ろに乗り込んだ。


足取りもしっかりしてるし・・・大丈夫そうだ。

私はホッと胸を撫で下ろした。


「北原先生、この度は大変失礼なことをしました。
申し訳ありませんでした」


穂高の母親が私に頭を下げる。


「いえ、私こそ。
穂高さんに嫌な思いをさせてしまったせいで、嘘をつかせてしまいました」


私も頭を下げた。


「いいえ、違います。
私がしっかりものの穂高に甘えて、穂高の兄と話しをしなかったのが悪かったんです」


穂高の母親は、ハンカチでそっと目頭を押さえた。