【完】アニキ、ときどきキス

「やだっ!やだあ!!」


穂高が両耳を押さえてガクンと崩れる。


ガーンッ!ガツッ!!


尚も続く破壊的な音。

何が2階で起こっているのか分からない。

だけど、穂高の異常なまでの震え。
ただごとではない。


「北原先生、携帯持ってる!?」


遥が私に向けて手を差し出す。


「持ってるけどなんで?」


「アニキにタクシーで迎えに来てもらう。
今家にいるだろうし。
なんか・・・ここ、やばいよっ」


「う、うん」


私はポケットから携帯をとりだし、遥に手渡した。


「穂高あ!!いるんだろお!?」


その時上から、低い男の声が聞こえた。


怒っているのか?

感情をそのままむき出しにしているような、激しい声だった。