【完】アニキ、ときどきキス

「だって、穂高の方が辛いでしょ?
攻めたら、もっと辛くなるだけじゃない」


私は穂高に近づいて、そっと右の頬に手を当てた。


「痛かったでしょ?
これ・・・自分で?」


「これは・・・・・・」


穂高の目が泳ぐ。

その時だ。



ガーーーーーンッ!!!



2階からだろうか。
何かを倒すような大きな音が聞こえた。


「は!?何、今の音!」


遥がドタドタと慌てて、私たちの元へ駆け寄ってくる。


「っや・・・・・・」


触れていた穂高の頬から伝わる、震え。


「穂高!?どうしたの?」


私は震える穂高の体を両手で押さえた。