【完】アニキ、ときどきキス

「うわあ・・・大きい家」


遥がポカンと口を開けて見上げる。


「そうだね」


その隣で、私も口をポカンと開けた。

視線を右から左に動かして、ようやく穂高の家が見渡せた。


私は、スウと息を吸い込み吐いて、穂高の家のインターホンを押した。


ピンポーン


カチャ


『はい』


「穂高の声だ」


遥が私の隣でポソリと耳打ちをする。


「穂高?
私、北原だけど・・・話があって来たの」


『帰ってください。
私、今先生の話を聞きたくありませんわ』


「あ、ちょっと待って。間違えた」


『え?』


「穂高の話を聞きにきた」


インターホン越しに力強く、私は穂高に伝えた。